小説のレビュー

ちょっと読んでみたので書いてみることにします。

海辺のカフカ

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

下品です。
何かそれっぽい文章でいろいろ書いてあるんですが、表現が露骨すぎて嫌悪感を覚えます。直接的すぎる性表現と近親姦にまったく違和感を感じない人ならいいかも知れません。弟が買った本なので読みましたが、自分が書店で見かけたら、立ち読みでパラパラとページをめくっただけで、すぐに棚に戻すでしょう。
内容はそれなりにおもしろいです。意味不明ですが、おそらく作者も編集者も、そんなことは百も承知なんだと思います。
変わった人ばかりが出てきて、実にリアリティがありません。中途半端にファンタジーで、こんな中途半端にするなら、もっと思い切って現実味をなくした方が、かえってリアリティが出たんじゃないかと思います。
本筋とは関係のないエピソードがなかなか興味深いです。ヒットラーの配下の話なんかが出てきていましたが、たぶんそのあたりが一番おもしろいんじゃないかと思います。それから、オチには期待しない方がいいと思います。かなり拍子抜けしました。
全然関係ありませんが、キーワードをたどってみたら、近代世界三大殺戮者というのがありました。ヒトラースターリン毛沢東だそうです。毛沢東にはそういうイメージはありませんでしたが、確かに殺戮者ですね。どのような理由があれ、大量殺人なんて許されるべきではありません。心に刻んでおくことにしましょう。

東京DOLL

東京DOLL

東京DOLL

何が人形なのかよく分からないです。あとからこじつけた感じですね。
肝心なテーマが後付けなのがつらいところですが、内容はおもしろいです。読んでみてもいいと思います。ただ、どうしても許せない点があります。
主人公がゲームのクリエイターなんですが、この人、ゲームの何たるかってのをまるで理解していません
コンセプトだのビジュアルだのキャラクターだのってのは、すべて構成要素の一つに過ぎないのであって、ゲームの本質ではありません。スポーツを見れば明らかです。そりゃ確かに、バスケットボールはダンクが派手でかっこいいです。選手もみんなファッションセンスが良くてかっこいいかも知れません。ロッドマンなんて話題に事欠かないでしょう。でも、そんなことはバスケットボールの本質ではないはずです。バスケットボールは、あくまでもルールに則ってプレイヤー同士が競い合い、より多くの点を取った方が勝つゲームであるはずです。サッカーでも野球でも同じことです。そして、スポーツでなくても同じことです。
ゲームの本質は、あくまでも目的とルールとプレイヤーです。何か失念している部分があるかも知れませんが、ゲームのクリエイターなら、この三つこそが絶対に押さえておくべき点のはずです。プレイヤーは何を目的とするのか、いかに魅力的な目的を設定するか。そしてそのために、どんな制約を儲けるか。フェアなルールが必要です。それこそが重要であり、それ以外はすべて枝葉末節です。プレイヤーに見せるためのものを延々と模索し続けるゲームのクリエイターなんて滑稽です。プレイヤーに見せるのではなく、あくまでもプレイヤーのための目的とルールを構築しなければなりません。最初の一歩を踏み外した姿には、笑いを通り越して呆れてきます。ゲームではなく、映画監督に置き換えれば良かったのかも知れません。必死になって悩んでいますが、悩むべき問題を間違っているのです。
とりあえず、この主人公は秋葉原の街にはなじまないだろうと感じました。あの街の譲り合いの精神とか、理解できるとは思えません。