ブログは実名で書くべきか

ビビリな若者たちよ!! 実名ブログで自分を「見える化」する勇気を!! | 日経 xTECH(クロステック)という記事がありました。平たく言えばブログに実名を載せろという話です。で、驚くべきことに、ウェブに実名を載せるデメリットについて、まったく言及されていません。
そこで、実名のメリットとデメリットを考えてみようと思います。
実名のメリットは、信頼性です。匿名と比べれば、実名の方が信頼性が高いと感じる人はおそらく多いでしょう。そして、これがおそらく唯一の利点です。
では、実名のデメリットを考えてみます。まず、話題が限定されます。実名で情報公開をした場合の最大の問題は、知らない人に自分の個人情報を知られることではなく、知っている人に書いていることを知られることです。実名でなければ仕事の話もある程度は書けますが、名前が分かれば、所属している会社からその内容も類推できますから、仕事に関係することは書けなくなります。
この記事では軽視されているようですが、当然、個人情報の問題もあるでしょう。僕はメールアドレスを公開したことがありますが、ほんの一時期だったにもかかわらず、今でもうんざりするほど迷惑メールが来ます。また、匿名で公開しているブログでも、Seak's Notes - ラグナロク オン はてなをご覧いただければ分かるとおり、いろんな人がコメントを付けに来ます。アクセス数が約900000件あることから分かるとおり、匿名ですら、内容によってはかなりのアクセスがあるわけです。このようなコメントを書くような人に住所が知られたらどうなるか、想像するに難くはないでしょう。
まだ、唯一の利点である信頼性ですが、これも実はあてになりません。ちょっと考えればすぐに分かることですが、無銘の人間の名前に価値なんてないのです。例えば、僕が今ここで実名を公開したとして、果たしてこの記事の信頼性が増すでしょうか。どこの誰かも分からない、信頼性を増形が気も一切持っていない、そんなただの人間の名前が分かったところで、信頼に足るとは言えません。
むしろ、ウェブの議論は中身が大事です。せっかく肩書きや権威にとらわれず、ただ意見の中身だけを見て議論できる場があるのに、あえてそれを汚すことはないでしょう。実名の公開を要求するのは「私は肩書きがないとその文章が信頼できるかどうかすら判断できません」と言っているに等しいと言えるでしょう。逆に、肩書きさえあれば、どれほど信頼に値しない意見ですら信頼してしまうのだと述べていることにもなります。
本来、言論は十分な出典が示されれば、本人の人間性など関係ないはずなのです。