事故の責任は誰にあるか

どうもイラクの人質事件以来、個人に最終的な責任を帰す傾向が強まっているような気がしますね。管理職のように、責任を取ることが仕事の人なら別として、そうでもない人に、極端な責任を要求するのはどうなのでしょうか。
少なくとも、海難では事故原因の究明が優先され、本人の責任はあまり優先されないことの方が多いです。なぜなら、事故の重大さに対して、個人の責任の重要性は低いからです。
最も重要なのは、事故の原因を突き止めて、再発を防止することです。大事なのは再び同じような事故を起こさないようにすることであり、また同じ事故が起きて、そのときにまた関係者をつかまえて処罰することではありません。
下の中央線の事故のところでも書きましたが、物事の重要性を考えておくのは大事です。中央線が止まった場合、電車が止まるだけで、経済的な被害は出るものの、命に支障があるわけではありませんので、重要なのは被害者ができるだけ早くその場から逃れることです。それに対して、人の命が失われるような重大な事故の場合は、何を置いても、二度とそのような事故が起こらないようにしなければなりません。
逆に言えば、電車が止まる程度の事故であれば、絶対に起こしてはならない、とは言えないでしょう。そんなことを対策する余裕があるのなら、人の命が失われかねないような事故の対策を行うべきです。そして、命に別状がないような問題であれば、絶対に起こさないように防ぐことより、万が一起こったときのための対策を考える方が現実的です。