問題な日本語
- 作者: 北原保雄,いのうえさきこ
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 2004/12/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ちょっとアマゾンのレビューを見てみました。いくつかの意見がありますが、批判する意見が一番いいですね。「問題な日本語本」というエントリです。ちょっと引用してみます。
そこには批評精神や言葉の異常な変化に抗う態度はありません。
こうやって言葉は変化するんだみたいな寛大な客観性に満ちています。
このレビューを書いた人は、この点を問題視しています。しかし、僕はこの態度が非常にいいと思いました。学者と言うのは、得てして学術的に正しいものはあらゆる面で正しいと主張しがちです。しかしながら、言語というものは生き物であって、実際に通じるのであれば、学問的に正しいかどうかはさほど重要ではないと思うのです。もちろん、学問として研究する場合は違います。国語学として考える場合は、正しい語彙や用法は決定的に重要でしょう。しかし、それはあくまで学問の話であって、一般社会に適用すべきではないと、僕は考えます。極論ですが、2ちゃんねるで正しい日本語を主張しても、おそらく誰も受け容れないでしょう。2ちゃんねるでは、もはや正しい日本語は共通語ではないからです。
要するに、社会で使われる日本語を論ずる上で重要なことは、現状を認識して、現状に沿った解釈をすることだと思うのです。学術的に正しいかどうかは二の次でいいのではないでしょうか。
「全然OK」は全然OK
特にこの本とは関係ありませんが、http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3578/2003/zenzen.htmという興味深いウェブページを見つけました。このページによると、「全然」という言葉に肯定表現をつなげる用例は、昔からあったのだそうです。ただし、昔から俗語表現だったそうですが。なんと、かの夏目漱石までもが用いていた表現ということで、昔からある程度一般的だったようです。こんなところにも、言葉の細かい解釈にこだわりすぎることの問題点が見えているような気がします。