東京駅の首都機能移転広告

東京駅を通ったら、首都機能移転広告が出ていました。要旨としては首都機能移転を訴えるというものなのですが、その広告には、注目すべき特徴がありました。おそらく、東京駅以外の駅にもあると思うので、探してみてはいかがでしょうか。
その特徴とは、根拠がまったく示されていないということです。これには驚きました。思わず立ち止まって、その広告をまじまじと見つめてしまいました。こうやって思い返してみると、そうやって足を止めさせることこそが狙いだったのではないかと思えるほどです。
当たり前ですが、訴えには理由が必要です。首都機能移転の問題であれば、例えば一極集中などが理由として挙げられるでしょうが、「一極集中」だけでは不十分です。一極集中の問題点を示さなければなりません。一極集中には、すべての情報を同じ場所で処理できるという利点もあります。その中で、明らかにデメリットが上回っていることを示す必要があります。
さて、一方その広告では、この根拠が「様々な問題があります」としか記述されていなかったのです。これでは、もともと首都機能移転に興味を持っている人ならともかく、そうでない人にはまったく理解できません。また、根拠がないので説得力もまるでありません。もちろん、根拠なしに結論だけ示すという方法も、あるにはある*1でしょう。もともと首都機能移転の問題は、最近になって議論され始めたような問題ではないので、根拠が必要ないという考え方は理解できないこともありません。しかし、全体の文章量は多く、ザッと見た限りでは100字程度は並んでいました。そんな中で、根拠を省略する理由がまったく分かりませんでした。これでは、説得力のある根拠がまったくないのではないかとすら思えました。

*1:例えば、白地に黒で、「首都機能移転」とだけ大きな字で記す広告は、印象に残るでしょう。