読書の感想

Fine days―恋愛小説

Fine days―恋愛小説

最近、何回か読書のレビューを書いてみました。全部弟が買ってきた小説だったのですが、その中では抜群のできです。明らかに優れています。
まず、変な日本語を使っていないこと、全体として読みやすいことが挙げられます。
短編集なのですが、どれもよくまとまっていて読みやすいです。それぞれの雰囲気がまったく違います。本当に同じ作者が書いたのかと疑問に思うほどです。
何でもない物語という印象なのですが、それでも深い感銘を覚えます。このあたりは、いわゆるストーリーテリングという技術なのでしょう。下手な技巧を使わず、シンプルに訴えかけてくるいい作品です。
ただ、あまりスッキリした終わり方をしないので、納得できない人はいるかもしれません。よくあるテレビ番組のようなきれいなオチを期待していると空振りします。そもそも、何かが片づけばすべてがおしまいと言えるほど単純な世界観ではないように思えます。
唯一気になったのは、値段です。たぶん、リンクをたどればアマゾンのページへ行けると思うんですが、この本、1600円もします。大学の学部生の専門書でも、安いものならこのくらいの値段でしょう。小説としてはびっくりするほど高いです。ハードカバーの小説というのはこのくらいが普通なのでしょうか。弟はよくこんなものを買ったものだと思います。よい本ですが、いくらなんでも1600円の価値があるとは思えません。
アマゾンのレビューを見ると、この作者、「村上春樹の子供たち」なんて呼ばれている人たちの中の1人らしいです。でも、どこが村上春樹に似ているのかさっぱり分かりません。あんなぐちょぐちょの世界とはまるで無縁のような気がします。それとも、海辺のカフカってかなり特殊な作品なんでしょうか。