天然と人工

天然のものは体に良くて、人工のものは体に悪いという話をよく聞きます。あるいは、天然だから環境に良くて、人工だから環境に悪いという話もよく聞きます。
しかしこれ、少し考えてみれば、おかしいということに気付きます。天然のものでも、体に悪いものはたくさんあります。極端なことを言えば、石とか土とかは、大地を構成する明らかに天然のものですが、体にいいわけはありません。一方、浄水場で科学的な処理を施された水は、残留塩素の問題などがあるにせよ、基本的には安全な水です。もし安全でなかったら、今頃日本は病人であふれかえっているはずです。ちなみに、水道の水が飲めるほどきれいなのは日本だけらしいです。他の国の水道の水は飲めないそうなのでご注意を。
世の中のいろんなことが難しすぎてよく分からないというのは理解できなくもありません。しかし、だからといって考えることを放棄すべきではないでしょう。分からなくても、分からないなりに考えてみれば、すぐ気付くことだってあるのです。物事を類型化して決めつけている場合、大抵は例外というものがあります。高校生はみんな遊んでいるとか、女子高生はみんな携帯電話を持っているとか、ニートはみんなやる気がない、とかですね。物事を類型化して考えてみることは大事なことです。難しいことを難しいまま考えていては、いつまで経っても何も分かりません。しかし、類型化はあくまでも、分からないことを解くほぐすための手段に過ぎません。それは、難しいことを単純化し、細かい違いに目をつぶるという、いわば逃げの手法です。どれほど優れた分類であっても、少なからず収まりきらないものがあるということは頭の片隅に置いておくべきではないでしょうか。